2007年8月20日月曜日

船体の構造

船体の構造

一本の丸太を刳り貫いて作る「丸木舟」の場合、丸太を水に浮かべて自然に水面上に出る側を上にして、中を刳り貫いていくことで船の形状を彫り出していく。

さらに地域によっては、吃水より上の部分に板材を重ねばりする事で、大型化したものも作られている(学術的にはタナ発達と呼ばれる)。特に大洋州や東南アジアでは、丸太を削りだした船底にバウやスターン、ガンネルとなる部材を結縛した縫合船が広く用いられている。日本列島においても近世以前にはこうした構造を持つカヌーが数多く用いられていたが、近代以降、木材の払底やFRP船の普及によって姿を消した。

また日本列島においては船底をはぎ合わせる技法が発達した。こうした構造はムダマハギとかシキ構造と呼ばれるものである。一見すると板材を貼り合わせた構造に見える場合もあるが、学術的には「必ず1本の丸太から2つの船底材を削り出し、はぎ合わせる」という点を重視し、刳り船に含めている。さらにこうした削り出しの船底材の間にチョウと呼ばれるセンターピースを挿入する工法も存在している。

主に寒冷地で使われたスキンボートでは、木材などによって構成した骨組みに、防水処置を施した獣皮や布、樹皮(樺の樹皮などがよく使われたらしい)などを張って船体を作る。

近年では合成樹脂、合板+グラスファイバーなどで船体を建造する例も多い。

[編集] シングルブレード・パドルとダブルブレード・パドル

使われるパドルの違いで言えば、幅が広めでオープンデッキのカナディアンカヌー系のボートは、水を掻く部分が片側だけに付いたシングルブレードパドルで漕ぐ事が普通で、クローズドデッキで幅が狭い傾向にあるカヤック系のボートでは両端に水掻の付いたダブルブレードパドルを利用する事が一般的である。またオセアニアのパドルは地域により様々な形状がある。

[編集] 船舶の構造の大まかな分類
リバーカヤック リジッドタイプカヤック
リバーカヤック リジッドタイプカヤック

* カナディアンカヌー
* カヤック
o リバーカヤック
+ クローズドデッキ
+ シットオントップ
o シーカヤック
+ クローズドデッキ
+ シットオントップ
* シングル・アウトリガー・カヌー(オセアニア、マダガスカル島等に分布)
o 伝統的な木造カヌー
o 競技艇(OC-1/V1、OC-4/V4、OC-6/V6)
o セイリング・カヌー(パドリングではなく帆走によって航行するもの)
o 航海カヌー(セイリング・カヌーの中でも大型で、数名の乗員と数トンの荷物を載せ、数百キロメートル以上の外洋航海が可能なもの。ミクロネシア、メラネシア、域外ポリネシアで主に用いられる。マウ・ピアイルックによれば、カロリン諸島の航海カヌーは通常、9日間の航海が可能であるとされる。船体、デッキ、ナヴィゲーター・ルームの構造は地域によって大きく異なる)
* ダブル・アウトリガー・カヌー(東南アジア島嶼部で広く用いられる)
* ワカ・タウア(マオリが用いる長大な戦闘用カヌー。アウトリガーは装着されない。船体に美しい彫刻が施され、この彫刻は近年では芸術の一種と考えられている。また最近ではこの種のカヌーは観光用にも用いられている)
* ダブル・カヌー(ほとんどが航海カヌーで、シングル・アウトリガーの航海カヌーよりも乗員数、積載能力、航続距離に優れ、無寄港で一か月強、数千キロメートルの外洋航海を行うことも可能。主にポリネシアで用いられる)

この分類におさまりきらないもの

* サーフスキー
* サーフカヤック
* ポロカヤック
* ラフト
* ダッキー

[編集] ツーリング

* 川旅
* 遠洋航海

[編集] 競技

* フリースタイル(カヌー・カヤック)
* ホワイトウォーターロデオ(フリースタイル)
* サーフカヤック
* スクウォート
* クリーキング
* ビッグウォーター
* ストライド
* シットオントップ
* セーリングカヌー
* スラローム(オリンピック競技)
* ワイルドウォーター
* フラットウォーターレーシング(オリンピック競技)
* カヌーポロ

(以上は日本カヌー連盟、国際カヌー連盟が統括する競技)

* アウトリガーカヌー(OC-1,OC-2,OC-3,OC-4,OC-6,DC-12あるいはV1,V2,V3,V4,V6,V12)
o アウトリガーカヌー競技はエリア毎に伝統に根ざしたルールでの競技団体が存在する。
o これらの競技団体の国際的な統括組織として80年のロサンゼルスオリンピックを契機に設立されたのがInternational Polynesian Canoe Federation(現在のInternational Va'a Federation)である。
o 競技用アウトリガーカヌーは、左側にアマを持つこと、シングルブレードのパドルを用いることが特徴である。
o 近年、ハワイ、北米といったエリアではOC1またはOC2にラダーを取り付けたものが主流となっているが、国際的にはラダー無しが標準である。
o 国際ヴァア連盟内では、オセアニアを植民地化し抑圧・搾取を行った欧米文化への抵抗感、さらには単なる競技種目でなく民族固有の文化であるというプライドから、オリンピックを頂点とする国際的なスポーツへの迎合を良しとしない風潮もある。

[編集] 国際交流

1998年よりハワイにおいて国際カヌーフェスティヴァルInternational Festival of Canoesが毎年開催され、ポリネシアを中心として世界各国からカヌービルダーが集まって交流を深めている。このイベントには日本からもアイヌのカヌービルダーが参加したことがある(2004年)。

また、4年ごとに各地で開催されている太平洋芸術祭Festival of Pacific Artsでも、カヌー関連のイベントは重要なものとなっており、1992年にクック諸島のラロトンガ島で行われた第6回大会では、大会のテーマそのものが「太平洋諸島民の航海の伝統」とされ、各地から航海カヌーが集結した。

さらに1996年にはニュージーランドのオークランドで、「航海カヌー・シンポジウム」が開催された。

[編集] 著名なカヌー選手

* 井上清登

[編集] 外部リンク

* 国際カヌーフェスティヴァル公式ウェブサイト


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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